医者になる
社長と医者は同じ。
この言葉が、最近身に染みます。
医者は患者のどこが悪いのかを見つけ出すために、患者の話にしっかり耳を傾け、症状の原因を探ろうとします。
社長も同じ。
社員やスタッフに元気がないときは、「元気を出せ」と励ますより先に、彼ら彼女たちになぜ元気がないのか、原因を探る方が大事なのだ…。
なるほど、と思います。
でも、これができていない社長、リーダーは多いのではないでしょうか。
実は、私もその中の一人です。
人にはそれぞれ、タイプがあります。励まされると燃えるタイプ、逆に萎えるタイプ。多少のミスをしながらでも成果を上げることを重んじる人、成果よりミスのないことを重んじる人。
でも、多くのリーダーはなぜだか「すべての人に同じアプローチをすればいい」と思っています。
「励ませば元気が出る」「叱って鍛えることが成長につながる」などです。
人のタイプが違えば、アプローチの仕方も声のかけ方も違ってしかり。風邪なのかインフルエンザなのかで、薬がまったく違うのと同じです。
インフルエンザにかかっている人に、いくら風邪薬を処方しても、まったく良くなりません。悪くすると、ますます悪化します。
これと似たようなことが、人を育てる場面でも起きていると思います。
私は最近、このことに気づかされました。
そして、スタッフやメンバーに接するときは、医者になろう、と思っています。
人財育成に困っているリーダーのみなさんに最も必要なのは、この「医者の視点」かもしれませんね。
ハリを伸ばす
「ハリを伸ばして活かし、メリはハリで補う」
きのう参加した報告会イベント(主催:発達障害サポートセンター ピュア)で、この言葉を聞いたとき、ハッとしました。
報告をしてくださったのは、児童精神科医の門先生。発達障害をもつお子さんたちと関わってきた方です。
門先生は、次のように話しておられたと記憶しています。
発達障害はメリハリが極端。メリは「強み」、ハリは「弱み」だが、弱みではなく、強みを活かすサポートが重要。発達障害の強みとは、目で見えるもので理解したり意思表示するのが得意なこと。だから「視覚的」なサポートをするのが大事。
なるほどと思いました。同時に「これ、ビジネスでも使える!」と思いました。
スタッフや部下と接するとき、「弱みの克服」に目を向けた接し方をすることがあります。でもこれは、本人にとっては苦痛。数字に弱い私に「簿記を覚えなさい」と言っても、私はただしんどいだけです。
でも、インタビューや文章なら得意中の得意(当たり前ですが・笑)。この「ハリ」を活かして、数字という「メリ」を補う発想だと、「メリ」をかなりスムーズに克服することができます。
例えば、インタビューをもっと効果的に行うために、導入、本題、しめの時間配分をどうすればよいかという観点なら、私は「時間」という数字と喜んで格闘します。得意をブラッシュアップするために、苦手を苦手と思わなくなるのです。
門先生のおっしゃりたかったことは少し違うかも知れませんが、強みをさらに伸ばすために何をすればいいか、という考え方で取り組むと、「弱みを克服してほしい」とわざわざ言わなくても、人は自分で弱みを克服していくのだと思いました。
それでも、どうしても弱みを克服できなかったら、できる人に助けを求める。
報告会では、発達障害をもつ方が、自分にはどうしてもできないことを、回りの人に「やってください」と頼む場面が、動画で放映されました。ちょっとした場面なのですが、なぜかとても感動しました。
「ハリを伸ばして活かし、メリはハリで補う」
発達障害の方々に、大切なことを教えてもらった気がします。